姫神の巫女二次創作小説「さくらんぼキッスは尊い」(二)
媛子の部屋に通された千華音は、落ち着かない様子で周囲を見渡した。あまり、じろじろと他人のプライベートを覗くのは失礼かと思いつつも、やはりチェックしてしまう。どうしたって瞳は正直だ。恋は盲目というが、好きな相手の暮らしを深く眺めてしまうのも恋の仕業。敵を知り、己を知れば、危うからず。歴戦の猛者の視界は、鳥よりもかなり広い。見ないところまで感じる洞察力は伊達ではない。何が変わっているか、変わっていないのか。一番に目がいってしまうのは、やはり――飾り棚のうえの写真立て。私たちのツーショットが増えている――。その事実に、千華音はなぜか安心してしまう。学校で友だちがいないわけではなかろうに、媛子は千華音以外との誰かの写真を飾らない。遠慮しているのだろうか。それとも、人間関係を知らせないため、無関係の民間人を巻き込まないた...姫神の巫女二次創作小説「さくらんぼキッスは尊い」(二)