纏まる (5)
研究所の1つ下の階に、大学の後輩のO君がいた。下の階に行くことがあり、O君と話す機会があった。丁度彼は帰宅するところであったが、話しかけてもいつものような歯切れの良さがなく、心ここにあらずという感じであった。彼の乗降駅は、自分の駅よりも3駅北であり、住まいを捜す時、路線の周辺をくまなく当たったので、駅周辺のおおよその土地感はあった。駅は半すり鉢状地形の底に有り、駅を支点として伸びる坂道の1つを昇りきった所に、彼のアパートはあった。 彼のアパートは、トイレが共同で、当時は古い集合住宅などで、まだ多く見られた汲み取り式であった。ここでY先輩の所で出てきた長雨がまた関係してくるのである(茶色い(1)…